4−前歯が、顔と調和した位置で、自然な口唇閉鎖ができることにより美しい口元であること
口元の形と前歯の位置は密接な関係にあります。両者のバランスのとれた形は美しく、機能的です。自然に口が閉じられ鼻呼吸がしやすい環境は、できあがった歯列の安定性や口腔内の健康の維持に寄与すると考えています。
矯正治療において前歯の位置付けは、その治療計画において考慮すべき大変重要なことです。
顔との調和のとれた口元は美しく、その笑顔はとても魅力的だと思います。反面日本人の顎骨は奥行きが短く、また鼻や頤(おとがい)の発育が少ないという人種的形態的特徴から、口元が突出した方が多くみられます。口元が突出していると、自然な口唇閉鎖が難しく、常に口が開いている状態となりやすく、
また、無理に唇を閉じようとすると唇の形がひずみ、下あごにはいわゆる「うめぼし」のようなしわができます。
口元の形は前歯の位置と密接な関係にあります。突出した口元を、バランスのとれた美しい状態にするには、前歯を後退させることが必要です。でこぼこをきれいにするため、拡大が行われた場合、前歯は前方へ傾斜しますので、口元の状態を判断したうえで行われることだと考えています。
自然に口が閉じられて、鼻呼吸がしやすい環境をつくることも歯科矯正治療の重要な治療ゴールの1つだと考えています。
矯正治療は前歯のでこぼこをきれいにして、はいおしまいというものではなく、生涯にわたって、健康で美しく機能的な歯並びを獲得することを目指す医療であること、そのためには考えなければいけないことがたくさんあることをご理解いただきたいと思っています。
この様なゴールに到達することは、矯正治療の持つ専門性から、歯科医師ならば誰でも出来ることではありません。そのための特殊なトレーニングを充分に受け、矯正治療に熟達した者が、患者さんと協力し始めて到達できることと考えています。 |
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